生活習慣病とは、食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患の総称です。
以前は「成人病」と呼ばれていましたが、成人であっても生活習慣の改善により予防可能で、成人でなくても発症可能性があることから、1996年に当時の厚生省が「生活習慣病」と改称することを提唱しました。
日本人の三大死因であるがん・脳血管疾患・心疾患、更に脳血管疾患や心疾患の危険因子となる動脈硬化症・糖尿病・高血圧症・脂質異常症などはいずれも生活習慣病であるとされています。

生活習慣病について

高血圧

高血圧治療ガイドライン2019が発売され、欧米にならい高血圧患者の降圧目標が140/90mmHg未満から130/80mmHg未満に引き下げられた。
薬物療法の有無に関わらず、生活習慣の改善は重要である。
減塩を含めた食事療法を当クリニック専任の管理栄養士がおこないます。
降圧目標を達成するために2~3剤を併用することが多いのですが、当クリニックでは積極的に配合剤を使用しています。
近年、心房細動という不整脈(脳梗塞を合併しやすい)を合併する患者さんが増加しており抗凝固剤(血液を固まりにくくする)を処方されています。より高血圧治療の重要性が増しています。

糖尿病

糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。 インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。

診断は容易ですが、治療開始に至らない、あるいは治療を中断して重症化する症例が就労世代に多い。
治療の目的は糖尿病特有の合併症(網膜症、腎症、神経障害)と動脈硬化性疾患の発症・進展を阻止して、健常人と変わらない人生を送ることにある。そのためには血糖はもとより、血圧および血清脂質も適切にコントロールすることが重要である。
特に食事療法は糖尿病治療の基本であり、当クリニック専任の管理栄養士がおこないます。
動脈硬化性疾患のスクリーニング検査としてABI(両腕と両足首の4ヶ所で同時に血圧を測り、血圧の比を比べることで血管の狭窄の状態を調べる)を適宜実施します。
また当クリニックには熟練した超音波技師が常駐しているので動脈硬化の早期発見に役立つ頸動脈エコー検査、すい臓がんの早期発見に腹部超音波検査をそれぞれ年に一度は実施します。もちろん心機能評価目的で心臓超音波検査も可能です。
糖尿病の薬物療法に関しては前勤務先(よこすか浦賀病院)にて糖尿病性腎症重症化予防チームリーダーを務めていたので治療経験豊富です。経口血糖降下薬、インスリン製剤、インクレチン関連薬を単剤から段階的に組み合わせて血糖管理目標を目指しています。
糖尿病治療に詳しい看護師がおりますので、お気軽にご相談ください。

慢性腎臓病(CKD)

腎臓の機能はいちど失われると、回復することがない場合が多く慢性腎不全といわれる病態になります。
慢性腎臓病(chronic kidney disease=CKD)は慢性に経過するすべての腎臓病を指します。CKDの原因にはさまざまなものがありますが、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)や慢性腎炎が代表的でメタボリックシンドロームとの関連も深く、誰もがかかる可能性のある病気です。
原疾患で最多の糖尿病患者の増加により右肩上がりに増えています。
末期腎不全(血液透析)と心血管疾患(心筋梗塞、大動脈瘤、脳梗塞など)のハイリスク群である。
生活習慣の改善、食事療法を基本に高血圧治療、脂質異常症治療、糖尿病治療、貧血(腎性貧血)治療が必要である。
腎性貧血に関してはかなり前から治療の重要性を認識して注射製剤の導入を積極的に行っています。2020年8月には内服の腎性貧血治療薬が発売され、治療の幅が広がりました。

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を言います。
LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドのうち、メタボリックシンドロームの診断基準に用いられる脂質の指標は、HDLコレステロールとトリグリセライドです。しかし、LDLコレステロールは単独でも強力に動脈硬化を進行させるため、メタボリックシンドロームの有無に関係なく、LDLコレステロールの値にも注意する必要があります。

LDLコレステロールは、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の発症と密接に関連しています。
冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)既往の有無により1次予防と2次予防に分ける。

【 1次予防 】
 まず生活習慣の改善を行った後、薬物療法の適用を考慮する。当クリニックでは管理栄養士の食事指導、超音波検査技師による頸動脈エコーで頸動脈狭窄、プラーク性状の評価を行い、薬物療法の適用を考慮しています。

【 2次予防 】
 冠動脈疾患既往患者を対象とする2次予防では再発予防のためにLDL-C(いわゆる悪玉コレステロール)値100mg/dl未満の達成を目指します。

自費診療